日本人のテニスプレーヤーとして有名な選手といえば、錦織圭選手や大坂なおみ選手を思い浮かべる方が大半だと思います。ここで、忘れてはいけないのが車いすテニスの「国枝慎吾選手」です。2022年6月~7月にかけて行われたウィンブルドンで優勝を果たし、テニスの四大大会(全豪、全仏、ウィンブルドン、全米)とパラリンピックを制覇する「生涯グランドスラム」を達成しました。
そこで今回は、車いすテニス界を牽引し続けている国枝慎吾選手の軌跡を振り返っていきます!
この記事の目次
【11歳】車いすテニスとの出会い
国枝慎吾選手は、9歳の時に脊椎腫瘍の影響で半身不随となり、車いすでの生活となりました。それまで活発な少年だったこともあり、車いすバスケなども探したようですが見つからず、母親の勧めで小学6年生の時に車いすテニスを始めたそうです。
テニス用の車いすに乗った時からチェアワークは目を見張るものがあり、最初は気乗りしなかったものの「車いすテニスをやってみよう」という気持ちになったそうです。
【16歳】本格的に競技に打ち込む
麗澤高校に進学し、高校1年生で初めて海外遠征に参加。そこで、多くの刺激を受けます。特に、当時車いすテニスで世界トップクラスに君臨していたリッキー・モーリエ氏のプレーに感銘を受け、「この競技で頂点を目指したい」という思いが明確なものとなり、より一層車いすテニスに打ち込むようになりました。
【19歳】大学1年生で全日本選手権初優勝
麗澤大学に進学した2003年、国枝選手はワールドチームカップに出場し、日本チームの大会初優勝に大きく貢献しました。
さらに、NEC全日本選抜車いすテニス選手権大会男子シングルスでは、連覇を続けていた斎田悟司選手を破って、初優勝を飾ります。その後も大会を連覇するなど、国内でも安定した強さを発揮しています。
【23歳】全豪オープンでグランドスラム初制覇
国枝慎吾選手のグランドスラム初制覇は、2007年の全豪オープンです。その優勝で勢いづいたのか、その年史上初となる車いすテニス男子シングルスの年間グランドスラム(全豪オープン、ジャパンオープン※、ブリティッシュオープン、全米ウィールチェアの4大会を制覇)を達成しました。
※2016年までウインブルドンは車いすテニスの大会ではなく、それまではジャパンオープンがグランドスラムの対象となっていました。
その後も好成績を残し続け、2022年のウィンブルドン選手権前まででグランドスラム27勝(全豪11、全仏8、全米8)という、とてつもない成績を残しています。ちなみに、健常者の男子シングルス最多優勝はラファエル・ナダル選手の22勝ですので、27勝というのがいかに凄いか伺えますね。
パラリンピックには5大会連続出場、6つのメダルを獲得
国枝慎吾選手は、2004年のアテネパラリンピックから2021年の東京パラリンピックまで5大会連続で出場し、シングルス・ダブルス共にメダリストとなってます(金メダル4つ、銅メダル2つ)。
2004年 アテネ
· シングルス 金メダル
2008年 北京
· シングルス 金メダル
· ダブルス 銅メダル
2012年 ロンドン
· シングルス 金メダル
2016年 リオデジャネイロ
· ダブルス 銅メダル
2016年のリオデジャネイロオリンピックは怪我をおしての出場であり、本調子とは言えない中、長年ペアを組む斎田悟司選手と共に銅メダルに輝いたのは流石の一言です。
2021年 東京
· シングルス 金メダル
ウィンブルドン初制覇で生涯グランドスラムを達成
2016年にウィンブルドン選手権が車いすテニスの男女シングルスに追加され、健常者と同様の大会形態となりました。国枝選手はこのウィンブルドンだけなかなか優勝できていませんでしたが、ついに2022年に優勝を果たしました。
この優勝によって男子シングルス史上初の生涯グランドスラムおよびパラリンピックも含めて制覇する生涯ゴールデンスラムを達成しました。
シングルスで生涯ゴールデンスラムを達成しているのは、健常者も含めて5名のみです。
男子
● アンドレ・アガシさん
● ラファエル・ナダル選手
女子
● シュテフィ・グラフさん
● セレナ・ウィリアムズ選手
テニス界を彩ってきた、錚々たるメンバーですよね。そんな中に日本人選手の名前が刻まれたことは、非常に誇らしい快挙です!
まとめ
今回は、生涯ゴールデンスラムを達成した国枝慎吾選手についてまとめてきました。ダイジェストとはいえ、これだけの好成績をコンスタントに残し続けていることに尊敬すると共に純粋に驚きを感じました。ご本人もおっしゃっているように、国枝慎吾選手に注目が集まっている間に車いすテニスを積極的に普及して、後進の育成にも尽力してもらえるといいですよね。